小説:蘭陵王
蘭陵王を読みました。
田中芳樹さんの本は久しぶりになります。学生時代は一番好きな作家さんでしたが、ここ最近はあんまり読んでませんでした。今回は中国の歴史ものでしたが、すごく面白かったです。歴史ものは、ちょっと登場人物が多くて名前を覚えるのが大変ではありますけど、カタカナに比べると幾分漢字の名前の方が覚えやすいですし。
田中さんの作品の中で、岳飛なんかと一緒にときたま話題がでてくる蘭陵王のお話です。美形で、知勇兼ね備えた人だけど、不遇に終わってしまう主人公の物語です。
一応、蘭陵王が主人公ですが、歴史ものの小説のいいところで綺羅星のごとく英傑たちが登場して、蘭陵王一辺倒という感じでもないです。田中さんの既存の中国もの隋から唐にかけてのお話(「風よ、万里を翔けよ」、「隋唐演技」)なんかに出てくる人に縁のある人物なんかもでてきて、そちらの作品も読んでいると更に楽しく読めるかもしれません。
岳飛伝なんかもそうだけど、報われない英雄的なお話が中国の歴史ものには多くて、義憤に駆られるというか何でこんなのが君主やってんだっていう感覚をこの作品でも感じることが出来ます。こういう人の悲劇性の方が物語としては愛されやすいとかあるのかなぁ。ちょうど歴史の変換点にあたる時代の物語で、最後の方で、隋の文帝がでてきたり、唐の宿将の話がでてくると歴史の流れを感じれます。
ハードカーバで、通勤の行き帰りに読むのは少し大変な本ですが、中国ものがお好きな人にはおすすめの一冊です。未読なら続けて、風よ、万里を翔けよとか隋唐演技も読んでみるといいかも。
文庫版が出たようなので追加しておきます。なんかアルスラーン戦記もまた出版されるみたいですね。今度は文庫で出すのでしょうか。続きも出てくれるといいのですけど。噂では、お涼のシリーズの新刊の後にタイタニアの続編でるらしいのですが、どうなってるのかなぁ。
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