小説:マルドゥック・ヴェロシティ 3
マルドゥック・ヴェロシティ 3 を読みました。
前巻の続きでクリストファーが誘拐されたところからの続きとなります。この巻でこのシリーズはラストで、ボイルドを主人公にして、マルドゥック・スクランブルに続く物語ということで、なかなか厳しい展開になります。積み上げてきたものが段々崩れていく喪失感というか、楽しい展開ではないですが胸に来るものがありますね。オセロットのエピソードなんかはやるせない気持ちになります。
カトル・カールの黒幕については、今までに出てきていない人物なのかなぁと思っていたので、少し拍子抜けした感じです。結構、狭いというか閉じた世界の話なのかぁという印象です。
今まで、意味ありげに登場していたシザーズが、この巻でクローズアップされます。カトル・カール関係よりはむしろこっちの展開の方が面白かったかもしれません。
ボイルドとウフコックの別離ですが、マルドゥック・スクランブルを読んだときの印象とマルドゥック・ヴェロシティを読んだあとの印象は結構違います。どうにもならない現実の中で、それでもどうにかしようとあがいたボイルドの結果としての別離なので、むしろウフコックがもう少し理解して阿賀手もよかったんじゃないかなぁという気もします。スクランブルとヴェロシティのボイルド像は少し一貫性がないような気もしますが。
続けて読んだせいか、独特の文体はそれほど気にならなくなりました。読んでて楽しくなる作品ではないですが、色々考えさせられる作品だなぁという感じです。
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