小説:"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1)

"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1)  を読みました。文学少女シリーズの野村さんの新刊です。「ヒカルが地球にいたころ」というタイトルだとなんだかSFチックなお話を想像してしまいますが、源氏物語を題材にしたお話だそうです。
大学の教養課程(理系だったので)で文学を取っていて、担当の先生が源氏物語好きな人だったので、何回か授業の題材につかわれていたのですが、かれこれ10年近く前の話なので、ほとんど忘れてしまいました。物語の説明というよりは、人間関係とかお話の格子みたいな感じの授業だったのですが。(源氏物語には、すべての物語のパターンが含まれてるみたいな内容だったかな?)
お話は、とりあえず一巻の段階では学園のアイドルだった男の子の幽霊にとりつかれた主人公が、幽霊の子の心残りを晴らすために奮闘する?って感じのお話です。主人公が不器用ながらも結構熱い性格で、幽霊の子とのコンビもなかなかよくて、面白かったです。
ただ、タイトルにもなっている葵って子がこの巻のメインヒロイン的な立ち位置なんだと思いますが、結構中途半端に他の登場人物が絡んでくるので、少し全体的にバランスが悪いというか印象が薄味な感じがしました。途中、文学少女的にミステリー的な展開が急に出てきて、そういうお話なのかな?っと思ったらそうでもなかったり。新しいシリーズということもあって、今ひとつお話の流れが想像しづらい部分があったかも。
巻末に次巻予告みたいなページがあるのですが、幽霊の子の死因が今後のメインになってくる感じなのかも。この巻自体は、そんなに引きもなくて綺麗に1冊でお話は閉じています。
あとがきによると、源氏物語以外にも裏設定でもう一つ名作が混じってるそうなのですが、そもそも源氏物語をそんなに知ってるわけでもないので(モテモテな光源氏と紫ってくらい)、ちょっとわからないですね。

野村さんの作品の感想はこちら。
“文学少女”と死にたがりの道化
”文学少女”と飢え渇く幽霊
“文学少女”と繋がれた愚者
“文学少女”と穢名の天使
“文学少女”と慟哭の巡礼者
“文学少女”と月花を孕く水妖
“文学少女”と神に臨む作家 上
“文学少女” と神に臨む作家 下
“文学少女”と恋する挿話集 1
“文学少女”見習いの、初戀。
“文学少女”と恋する挿話集 2
“文学少女”見習いの、傷心。
“文学少女”と恋する挿話集3
“文学少女”見習いの、卒業。
“文学少女”と恋する挿話集4
半熟作家と“文学少女”な編集者


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