小説:彩雲国物語 紫闇の玉座(下)

彩雲国物語 紫闇の玉座(下) を読みました。一応、これでシリーズは終わりです。前巻のあとがきの予告通り、本巻にはあとがきもなかったですが、もう外伝とかも出ないのですかね?一応、ケータイサイトの方で8/15まで「運命が出会う夜」というのを掲載してるようなので、あとで読んでみようかと思います。木曜日くらいに後編が公開らしいのでその後にでも。
前巻のラストの勢いから、下巻で一気にラストまで突っ走るのかなぁと思っていたので、序盤はちょっと意表をつかれたというか拍子抜けな感じでした。1冊読み終わるとそれなりに納得のいく劉輝の決断ですが、秀麗や羽羽が前巻で頑張りを見せたのに比べると、なんとも歯がゆい展開で少しストレスが貯まります。
劉輝の決断に説得力を持たせるためにある程度ページを割くのはしょうがいないのでしょうけど(旺季との対比もあるし)、正直18冊もだしてる間に済ませておいてよという気がしないでもないかったです(今までが秀麗メインの物語で、劉輝の視点はあんまりなかったので仕方ない部分もあるかと思いますが)。
秀麗の方も見せ場はあったけど、基本的には劉輝や旺季、リオウとかがメインのお話という感じでした。鉄鋼技師絡みの話も監察御史がらみで秀麗の話になるのかなぁと思ってましたが、ちょっと意外な幕切れでした。ここら辺は、前巻の伏線に気付けてなかったです。単純に劉輝なら隠し村みたいなことはしないってことくらいかなぁと思っていたので。
作中でも書かれてたけど、ちょっと晏樹が暗躍しすぎたというか、やり過ぎなければすべて旺季の手に収まったんじゃないかって辺りがちょっと安易かなぁって感じがしなくもなかったです。旺季もそれを暗に認めてて止めなかったというのもあるけど、晏樹ひとり悪者っぽくなっちゃって。あと、晏樹がちょっと小物っぽくなっちゃった感じがしますね。
最終的には色々あったけど、すべて悠舜が持っていた感じでしょうか?私も見方的には劉輝と同じ見方をしていましたが、晏樹がらみで消えてく人物の描写が前巻から同じ形で形で続いていたのでちょっと騙されました。皇毅がほとんど出番がありませんでしたが、皇毅、晏樹、悠瞬にそれぞれ役割があって、一番似合わなさそうな晏樹が貧乏くじを引いてたって辺りが少し面白かったです。
お話としては大団円という感じで、みんな丸く収まってちょっぴり幸せなラストという感じでしょうか。こちらも前巻からしきりにタイムリミットが示されていたのでちょっと騙されました。ただ、一巻か何巻かのラストで、劉輝の治世は~みたいな締めがあったので、それと矛盾しないし、いいラストだったんじゃないかなぁと思います。

黎深とか結構好きなキャラだったのですが、今回は殆ど見せ場なしでしたね。ギャグになっちゃうし仕方ないのかな?もう少し楽しめたらよかったかなぁという気もするけど、無駄に伸ばされてるよりはいい終わり方だったと思います。雪乃さんってこの作品以外はまだ書かれてない作家さんなんでしょうか、あとがきにみるとそんな感じでしたが。次の作品がどんなお話になるか楽しみですね。角川ビーンズ文庫で出されるのだと、アニメ化とかしないとチェックできないかもしれないですが。

既刊分の感想はこちら。
彩雲国物語 漆黒の月の宴
彩雲国物語 朱にまじわれば紅
彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計
彩雲国物語 心は藍よりも深く
彩雲国物語 光降る碧の大地
彩雲国物語 藍より出でて青
彩雲国物語 紅梅は夜に香る
彩雲国物語―緑風は刃のごとく
彩雲国物語―青嵐にゆれる月草
彩雲国物語―白虹は天をめざす
彩雲国物語―隣の百合は白
彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく
彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる
彩雲国物語 黄粱の夢
彩雲国物語 暗き黄昏の宮
彩雲国物語 蒼き迷宮の巫女
彩雲国物語   紫闇の玉座(上)


彩雲国物語 紫闇の玉座(下) (角川ビーンズ文庫 46-22)
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