本:争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール

争うは本意ならねど を読みました。ちょっとタイトル長いですね。我那覇選手が巻き込まれたドーピングの冤罪事件のドキュメンタリです。2月の半ばくらいにサッカー関係のtwitterで紹介されていたので、注文していたのですが、最近届いて先ほど読み終わりました。

正直、当時からJリーグの試合も見てたんですが、あんまり興味もなくて見に行った試合でも裁判費用の募金活動とかやってた記憶とかあんまりないです。初回の報道近辺でながれてたにんにく注射(ってのの正しい定義も知らなかったですが)うんぬん程度しかしらなかったですし。
06年に横浜FCで15人にんにく注射を行ったのが要因で、翌年禁止行為になったらしいのですが、柏も人事じゃなくて降格した05年あたりにラモスの肝いりで確かやってましたよね。06年までは禁止行為として明文化されてなかったらしいですけど。

読んでみてわかりましたが、これひどい話で疑わしいところがある冤罪とかいったレベルじゃなくて、はめられて故意に罪を負わされてる可能性すらある話でした。できたら、多くの人に読んでもらいたい本です。完全にシロの判定が下されているのに、リーグからは正式な謝罪もないところか、英語の判定を曲解して、なんで我那覇選手に対する治療が違法だったかどうかの判定は出ていないとかわけのわからないコメントを平気で出す始末。

浦和や広島を初めとしたチームドクター、当事者の川崎のドクター(今年からまた戻られたみたい)なんかの努力で今は大分正常な状態になっているようですが、正直リーグ側の対応は何考えてるのかわからないレベルです。
一番問題のある人物であるJリーグドーピングコントロール委員会の青木委員という人が何を考えてるのか一番わからない人物で(インタビューを申し込んだけど断られたらしいです)、この人もチームドクターをしていたことがある人らしいのですが、本書だけ読むときちんとした医学的知識があるのかわからない振りをしてるのかもからないレベルで正直?な感じです。ドーピング憎しのなんか主義主張がある人物なのかもわからないし。
立場としては、疑い深くあるべき役職の人なのでそこまでならかまわないのですが、我那覇選手と川崎の医師に対する対応をきちんと調べればわかるレベルのことなのに(知ってて?)、間違いを認めていません。
お話のほうは、こういう問題を法的に扱うのにはそうなるのかなぁという感じで、素人的にはなんでそっちがに焦点があたるのかなぁという部分もあります。
問題の原因である当時の人物、前述の青木委員と、JFAの川淵氏はインタビューを拒否していますが、チェアマンをしてた鬼武氏はインタビューに答えています。前述の二人よりましただけど、あんまり当事者意識もない感じなのかなぁ。リーグとしての対応の責任者だと思うのだけど、裁判費用だけでも少なくて済むJSAAではなくCASを選んで何千万って金額をリーグに使わせているので、普通の企業なら訴えられても仕方ないレベルだと思うのですが。

お話の後半は少し人情物語というか周りの活動とかに焦点が当てられて少しなんですが(話としてはいいのですが)、リーグに関係する人にはぜひ読んでほしい内容です。文章自体は読みやすくて、突っかかるところはないですし。インタビューが取れなかった分、少し我那覇選手とチームドクター側からの視点になりっぱなしというのはありますが。時間がなかったらエピローグからだけでも読んでもらいたい感じです。

本書にもページ名だけ出てきますが、本件をまとめたページがあります。
川崎フロンターレ・ドーピング事件を検証して日本に正しいアンチドーピングが実現することを願うホームページ

一文の得にもならないのに、立ち上がってくれたチームドクターや我那覇選手には感謝ですね。ある意味Jリーグを救ってくれたわけですし。
Jリーグの規約には以下のようなものもあるらしくて、まだまだ改善してかなきゃいけない部分もいっぱいあるようです。

第12章 最終的拘束力
第165条〔最終的拘束力〕
チェアマンの下す決定はJリーグにおいて最終のものであり、当事者およびJリーグに
所属するすべての団体および個人はこれに拘束され、チェアマンの決定を不服として裁判
所その他の第三者に訴えることはできない



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