小説：エンディミオンの覚醒〈下〉

エンディミオンの覚醒〈下〉　を読みました。ハイペリオンから続くシリーズの最終巻になります。巻末の訳者さんのお話によると中編がまだ1編残ってるみたいですが。
エンディミオンの覚醒ということで、なんか抽象的な意味での覚醒ってことなのかと思っていましたが（今まで何らかの片鱗を見せていたりもなかったし）、文字通りの覚醒でちょっと意表をつかれました。
物語の方は、再会を果たしたエンディミオンとアイネイアーの元にパスクの追っ手がたどり着いて、どうなるってところ辺りからの続きになります。（この時点では）他力に見える助力もあって、なんとか追っ手を振り切り、また逃避行の旅にでることになります。
読者視点だとエンディミオンと同じで、とにかく真相はエンディミオンには語られないみたいな展開が続くのでちょっとストレスが溜まる感じだったかも。あと、ディベートじゃないけど、禅問答みたいなのシーンが何度か出てきて、興味のある話もあれば、ない話もあったり、ちょっとどこらへんに向かってる話しなのかなぁというのがわかりづらかったです。変に宗教がかった話がでてきたりもして。
終盤に掛けては、懐かしい人物の再登場があったり、シリーズを読んでてきた人にとっては面白い展開になります。
なんのかんのでピンチを切り抜けたり、そんなにシビアな展開にはならないのかなぁと気を抜いていたら、ラスト手前では、ちょっとショッキングな展開（最近映画を見たのでベルセルクのグリフィスを思い出しました）あったりして、エンディミオンのシリーズから続いてる、シュレディンガー・ボックスの真相に繋がる感じになっています。
最後は大団円といっていいのかなぁ。色々今までのシリーズの種明かしがありつつ、エンドとなります。
今まで結構無駄っぽいなぁと思われてたことが実は意味があったり、そういう意味だと風呂敷はうまいことたたまれたのかなぁという感じのラストでした。
一見取り柄のない凡庸な主人公のエンディミオンでしたが、最後は意識せずに色々な役割を果たした感じですね。読者にしてみればアイネイアーの子供の父親なんて、わかりきった話ですが、最後まで気が付かないエンディミオンというのは徹底した感じでした。よくある察しの悪い主人公というのとは少し違うけど。
逆にこれがあるせいで、ラストの展開が少し読めちゃった感じがあるかもしれないですね。

残りの中編？はヘリックスの孤児というお話らしいです。機会があったらここまで来たので、読んでみようと思います。


・ハイペリオン〈上〉
・ハイペリオン〈下〉
・ハイペリオンの没落〈上〉
・ハイペリオンの没落〈下〉
・エンディミオン〈上〉
・エンディミオン〈下〉
・エンディミオンの覚醒〈上〉

エンディミオンの覚醒〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
早川書房
ダン シモンズ

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