小説:光圀伝 (上)

光圀伝 (上) を読みました。冲方丁さんの小説になります。元々単行本で出ていたのを今回文庫で上下巻で出版されたので買って読んでみました。

水戸黄門でおなじみの水戸光圀を主人公にした小説になります。上巻では光圀の子供時代から結婚する辺りまでのお話になっています冲方丁さんの時代小説だと、天地明察を読んだことがありますが、これも冲方丁さんの他の小説に比べると癖がない文体で読みやすい文章になっています。

次男として生まれた光圀ですが、なぜか世子(跡継ぎ)に選ばれて、次男の自分がなぜ跡継ぎに選ばれたのかというの1つ軸になって物語が進みます。長男に負い目を感じながら、一方的に敵愾心を抱いたり、一転和解したり、宮本武蔵にであったり、詩歌にはまってそれで天下を取ろうしたり、ライバルが登場したり、打ち解けて部下にしようとしたり、なかなか騒がしいエピソードと共に忙しい日々が続く感じで序盤は面白かったです。
終盤にかけて「義」って概念で、世子に選ばれた負い目みたいなものを解消しようとするのですが、ここら辺が今の時代の観念だとちょっと共感を感じにくくて、それに奔走する姿がちょっと自分勝手にも映るしちょっとのめり込みづらかったかもしれません。ラストは、面白い結婚相手が出てきてちょっと持ち直した感じ。

水戸黄門というとTBSのドラマくらいでしかしらないので、ちょっと想像してたのと違う感じでした。天地明察とかでも出てきてましたが、どちらかというと(太平の世の人だし)、文化的な事業で有名な人ということになるのですかね。当時にしたら常識なんでしょうけど、為政者になるのに詩歌にはまって、治世より血筋の話ばかり出てくるし大丈夫なのかなとかって感じもしますね。
由比正雪の話とか少しだけ出ててきたけど、一度読んでみたら面白そうですね。平井和正さんの幻魔大戦のシリーズのどこかでも出てきたと思ったけど、どんな背景の人物か完全に忘れてました。

今日の午前中の内に新刊が届かなければ、下巻はもう届いてるので甲府戦に行き帰りに読もうと思います。



光圀伝 (上) (角川文庫)
KADOKAWA/角川書店
2015-06-20
冲方 丁
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