小説:いまさら翼といわれても

いまさら翼といわれても を読みました。米澤穂信さんの新刊になります。古典部シリーズの何巻目なんだろう。短編集みたいな形で、巻末の初出をみると雑誌に掲載されてたものばかりみたいですね。

・箱の中の欠落
 里志から相談を受けて生徒会長選挙の不正の謎を奉太郎が考えるというお話になっています。これが一番ミステリーっぽい話でしょうか。私はオチには気がつけませんでした。なんか管理委員の数とピッタリだったのでダブルカウントされるようなミスの話なのかなぁと。
 物語自体のオチ(動機)が気になるところですが、そこがメインではないということで、そこまでは書かれていません。

・鏡には映らない
 中学のときのある事件がきっかけで奉太郎をこころよく思っていなかった摩耶花ですが、高校での奉太郎を見ているとなんだかそれに違和感を感じて…ということで真相を調べることになります。
 てっきり本当の作者は違うみたいなオチなのかと(そこに正解を隠してた)思ったのですが、ちょっと違いました。
 最後のTもイニシャルだと気づいたのは読後でしたし。

・連峰は晴れているか
 なんかすごく既視感があるなぁと思ったらアニメ化されてたエピソードですね。書籍で載るのは初めてだったんでしょうか。
 中学のときのときの先生がヘリコプターが好きだったと思っていた奉太郎ですが、微妙に食い違う里志や摩耶花の印象との違和感からいつになく積極的に真相を調べるみたいなお話になっています。これはオチを覚えてたのですが、なんで奉太郎が調べようと思ったのかは忘れてました。

・わたしたちの伝説の一冊
 文化祭の漫画部の後日談のようなお話ですね。てっきり自信をなくした浅沼さんが犯人なのかと思いました。ダメになる口実にしてるのかと。ちょっとオチは予想外なところからきたかなぁという感じでした。個人的には面白いかなぁと思いましたが。なんというか明るい?結末かなぁという感じで。

・長い休日
 いつになくちょうしのよい奉太郎。魔が差して出掛けた先でえるに出会って、なんで奉太郎がやらなくていいことはやらないというモットー?を持つに至ったかという昔話をすることに。
 事件のオチはなんとなくわかったのですが、それがどう結び付くのかがちょっと解説されるまでわかりませんでした。

・いまさら翼といわれても
 標題のお話ですね。少し様子のおかしいえる。休みに入り、合唱コンクールでソロを歌うことになっていたのですが、当日会場に姿を表さず…ということで奉太郎たちが行方を探すみたいなお話になっています。
 バスのオチはそういうことなのかとすぐわかったけど、えるの方の話は読むまで気がつきませんでした。

全体的にミステリーそれ自体のよりは主人公たちの内面的な部分のほうがメインなのかなぁという感じはあったかも。
なんか実写映画化されるらしいですね。アニメの方は2期とかやれるほどはエピソードなかったでしょうか。
文庫化されるまで待とうかと思いましたがいつされるかわからないし買ってしまいました。未読で、作品好きな方なら損はしないないようだと思います。



いまさら翼といわれても
KADOKAWA
2016-11-30
米澤 穂信
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