銀河英雄伝説第1期第14話「辺境の開放」: あああ

2021年05月21日

銀河英雄伝説第1期第14話「辺境の開放」

銀河英雄伝説第1期第14話「辺境の開放」を読みました。旧OVA版になります。

同盟の帝国領遠征の失敗の始まりを一般の士官から描いた感じのお話になります。
遠征序盤は、物資を提供することにより民衆から両手をあげてむかえいれられるのですが、占領地域の拡大により必要な物資はうなぎ登りで増えていき…という展開。

着々と帝国領へ進出する同盟軍。有人惑星では、ラインハルトの策により物資が引き上げられており、民衆は困窮しています。
理想を語るも、理想的な反応は返ってきません。

同盟兵士「我々は解放軍だ！我々は君たちに自由と平等を約束する！もう専制政治の圧政に苦しむ必要はないのだ！」
帝国の民「…食料がないんだ。軍隊がみんな持っていってしまった。自由や平等より先にパンや肉を約束してくれんかね。」
同盟兵士「も、もちろんだとも！」

第7艦隊ホーウッド提督の管轄区域では、技術将校として従軍しているヴァーリモント少尉が現地の開発支援として派遣されます。
もともと植物学、土木に明るいヴァーリモント少尉は喜んでその役を引き受けます。
着々と開発の進む中、地元の有力者は娘をあてがって少尉を取り込もうとします。

隠し持っていた食料でパーティーが開かれます。一応、少尉も招かれるのですが。

テレーゼ「……あの、本当は父からいつも少尉の側にいるように言われているんです。」
ヴァーリモント少尉「だろうな。君の父上はなかなかの策士だから。」
テレーゼ「……でも、私は父に言われなくても…。」

父「解放軍といつまで手を繋いでいけるのか……。」

一方、作戦本部であるイゼルローン要塞には、前線から物資の要求が続々と届いていました。恒久的に帝国の民衆を食わせるにはさらなる物資の供給が必要になるであろうと。
補給計画を立てたキャゼルヌは、そんな予定外の要求に答えられるわけがないので司令官に直接窮状を報告に行きます。

キャゼルヌ「閣下、我軍は危機に直面しております！それも重大な危機に。」
ロボス「各部隊からの要求書のことか？どうも過大な要求という気もするが、占領政策上止む得んのではないかな？」
キャゼルヌ「イゼルローンにそれだけの物資はありません。」
ロボス「本国に要求を伝えればよかろう。」
キャゼルヌ「そうすれば、多分送ってくるでしょう。しかし、その物資が前線まで届くかどうか。」
ロボス「どういう意味かね？」
キャゼルヌ「（気づけ馬鹿が！）敵の作戦が我軍に補給上の過大な負担をかけることにあるということです。」
フォーク「つまり？敵は輸送船団を攻撃し、我軍の補給線を絶とうと試みるだろうと？それが後方主任参謀のご意見なのですな？」
キャゼルヌ「うむ。」
フォーク「しかし、最前線までの空域は我軍の占領下にあります。そうご心配にはおよばないでしょう。」
キャゼルヌ「……わかりました。このとてつもない要求書はロボス閣下の許可済みということでハイネセンにだしておきましょう。」

キャゼルヌ『ヤン、生きて帰れよ…。死ぬにはバカバカし過ぎる戦いだ…。』

一方ハイネセンでも密室のなかで愚かな決定がくだされました。さすがのトリューニヒトも同盟の滅亡まで望んでいなかったのか一瞬驚いてますね。同盟は泥沼に突入です。

レベロ「これでは際限がないではないか。帝国はわが同盟の財政を破壊するつもりなのだ。民衆を道具にするとは憎むべき方法だが、わが軍が開放と救済を大義名分としている以上、有効な方法であることは認めざるを得ない。もはや、撤兵すべきだ！」
ホワン「賛成！」
ウィンザー「反対です！」
トリューニヒト「（え！？馬鹿な！？）」
ウィンザー「わが軍が飢餓から彼らを救えば、帝政への反発と相まって民衆の心が同盟に傾くのは必然なのです！この上は議長のご意見を！」
議長「……前線でなんらかの結果が出るまでは軍の行動に枠をはめるようなことはすべきではないだろう。もしもここで撤兵すれば、遠征は愚行と浪費の象徴として市民の笑いものになる。つまりわが評議会は市民の支持を失い、次の選挙で敗北するということだ。」

一方帝国では、ラインハルトがキルヒアイスに補給部隊の壊滅を指示します。当然、キルヒアイスがしくじるわけもなく、同盟の輸送艦隊は全滅します。

ラインハルト「ハイネセンから前線へ輸送艦隊が派遣される。敵の生命線だ。お前に与えた兵力のすべてをあげてこれを叩け。」
キルヒアイス「かしこまりました。」
ラインハルト「キルヒアイス…、勝つためだキルヒアイス。」
オーベルシュタイン「キルヒアイス中将は、今回の戦法に反対ですかな…。」

事態を理解していないフォークは、前線に物資を自前で調達しろと命令します。

ホーウッド提督「なに！？輸送艦隊が襲われた！？」
フォーク「従って、当分食料の補給は望めません。必要とする物資は現地で調達してください。」
ホーウッド提督「現地で調達だと！？それでは我々に略奪をやれというのか！？」
フォーク「どう取るかは閣下のご自由です。私はただ、ロボス総司令官からのご命令をお伝えしているだけです。」

ホーウッド提督もサボタージュできるような状況ではなかったのか、現地調達を命令します。
ここからは下り坂一直線ですね。

ヴァーリモント少尉「食料の調達とはどういうことだ！？」
兵士１「詳しいことはわかりません。ただ、我々は上からの命令に従っているだけです。」
兵士２「とにかく軍の方針が変更になったのです。」
ヴァーリモント少尉「そんな馬鹿な……。」

当然民衆は反旗を翻します。ヴァーリモント少尉も止めに入りますがもうどうにもならない状態に。

父「いいか！我々には帝国も、同盟もない。食料を与えてくれるものが味方であり、それを奪うものは全て敵だ！」
ヴァーリモント少尉「待ってくれ！君たちが歯向かったところで軍隊には勝てない！」
父「では飢えて死ねというのか？」
ヴァーリモント少尉「君たちには畑があるではないか！」
父「収穫までどうやって食っていけばいいのか？もう今夜の食料もないのだぞ！さあ！ゆくぞ！」

軍の威嚇射撃から始まって、民衆の投石。軍の反撃と一気に騒乱は拡がっていきます。

フェザーンでは黒狐が高みの見物を決め込みます。

ルビンスキー「それにしてもあの孺子めやりよるわ。単なる戦上手ではないな。」
ドミニク「見かけによらず勝つためには手段を選ばないのね。」
ルビンスキー「それだけではないぞ、ドミニク。帝国の民衆はこれまで同盟に対して外敵という認識を持っていなかった。そこに敵意を植え付けたのだ。これは大きい。」
ドミニク「それで、今度は同盟に肩入れですの？お忙しい事ですわね。」
ルビンスキー「このまま、あの孺子が勝ちすぎても困る。帝国も同盟も、もっと互いに傷つけあってもらわねば困る。そして軍事費で疲弊したところを、このフェザーンが経済面から支配する。これからの戦争は艦隊決戦ではない。経済が鍵を握るのだ。」
ドミニク「よろしいですわね。」
ルビンスキー「うん？」
ドミニク「お楽しみが色々あって。」

ヤンとウランフの提案でビュコック提督から総司令に撤退の具申をあげようとするのですが、ありえない理由で取り次いでもらえず。

ビュコック提督「わしは総司令官閣下に面談を求めたのだ！作戦参謀ごときが呼ばれもせんのに出しゃばるな！」
フォーク「…どんな理由で面談をお求めですか？」
ビュコック提督「貴官に話す必要はない！」
フォーク「ではお取次ぎするわけにはまいりません。どれほど地位の高い方であれ、規則は遵守していただきます。」
ビュコック提督「なに！？……前線の各艦隊司令官は撤退を望んでおる。その件について総司令官のご了解を頂きたいのだ。」
フォーク「ヤン中将はともかく、勇敢をもってなるビュコック提督までが戦わずして撤退を主張なさるとは意外ですな。小官なら撤退などしません。」
ビュコック提督「そうか！では代わってやる！私はイゼルローン要塞に帰還する。貴官が代わって前線に来るがいい！」
フォーク「…出来もしないことを仰らないでください。」
ビュコック提督「不可能なことを言い立てるのは貴官のほうだ！それも安全な場所から動かずにな！」
フォーク「小官を侮辱なさるのですか！？」
ビュコック提督「貴官は自己の才能を示すのに弁舌ではなく実績を持ってすべきだ！他人に命令するようなことが自分にはできるかどうかやってみたらどうか！」

ヒステリーの発作を起こして倒れるフォーク。グリーンヒル大将が引き継ぎますが…。

ビュコック提督「非礼を承知で申し上げるが、総司令官、ロボス元帥閣下に直接お話できるよう取り計らっていただけますかな？」
グリーンヒル「……ロボス閣下は昼寝中です。敵襲以外は起こすなということですので提督の要望は起床後にお伝えします。」
ビュコック提督「……昼寝！？……よろしい。わかりました。この上は前線司令官として部下の生命に対する義務を遂行するまでです。ロボス閣下がお目覚めの節は、よい夢がご覧になられましたかとビュコックが気にしていたとお伝え願いましょう。」
グリーンヒル「……提督。」