銀河英雄伝説 第2期 第39話「ひとつの旅立ち」
銀河英雄伝説 第2期 第39話「ひとつの旅立ち」を見ました。旧OVA版になります。
幼帝誘拐が成功し、同盟領内に亡命政府を立てたことでラインハルトは同盟に宣戦布告。
一方、グブルスリー提督の退任により、ドーソンが後任に。その余波で、ユリアンはフェザーンへ飛ばされ、亡命政府の要請でメルカッツ提督たちは軍務尚書として呼びされることになりますというお話。
今回は、OPもEDも特別バージョンですね。
そういえば、この回は多分みたことありますね。ユリアンがムライにむっとするところの作画が結構ひどかったのを覚えていますが、新規作画になってました。
ラインハルトの宣戦布告に大見得を切るトリューニヒト。面の皮は分厚い。
トリューニヒト「何も心配することはない。我々にはイゼルローン要請という絶対の防壁があり、ヤン提督という不敗の名将もいる。帝国のローエングラムがいかなる攻撃をしてこようとも恐れるべきなにものもない!」
最近まで査問会でヤンをいびっていたのにとトリューニヒトを批判するレベロ。これに嫌気が差したヤンが独裁者になるのでは?と危惧します。一応、これ後の展開の伏線といえば、伏線なんでしょうか。組めさえすれば理想的なコンビだったのですが……。
査問会を直接見たホワンはヤンの人となりをそれなりに理解して、それはないだろうと否定しますが。
レベロ「いい気なものだな、その頼みの綱のヤンを査問にかけていびっていたときから半年も経っておらんのに。」
ホワン「都合の悪いことは忘れるようにしてるんだろう。」
レベロ「加害者は忘れても、被害者の方は忘れんもんさ。どう思う?ヤンはそうした現政権の仕打ちに嫌気が差してるんじゃないかな?」
ホワン「それはそうだろうな。」
レベロ「その気持が強くなれば、自ら軍事独裁政権を打ち立てようという気にならんとも限らんだろう?」
ホワン「うん?まさか……。」
レベロ「現実にならないうちは笑っていられるがね、笑顔が途中で引きつるような場面を私は何度も見てるんだ。」
ホワン「独裁者という名のカクテルを作るためにはたくさんのエッセンスが必要でね。差し当たり私の結論、ヤン・ウェンリーは独裁者にはなれんよ。少なくとも本人にその意思はない。」
トリューニヒトは軍部に手を入れて引っ掻き回します。理想論というか名目上独裁を防ぐために文民統制の一環として人事で軍部の人材の流動性を保つのはあながち間違ったはないではないのですが、それで弱体化が進むのでは話にならない利敵行為ですね。二人の議論も暗い方向にしか行きません。
ホワン「こんなことは言ってはなんだがね、帝国の民衆の方がいっそ幸せかもしれん。」
レベロ「うん?」
ホワン「腐敗した専制政治という議論の余地のない最悪の状態から救出されつつあるのに対して、我々同盟は腐敗した民主政治と清潔な独裁政治とどちらを取るかという最も回答困難な命題を突きつけられているようなものだからな。」
そして、その余波はユリアンの元にも。フェザーンの駐在武官としてイゼルローンから飛ばされることに。
ごねるユリアンを諭すヤン。ユリアンは勢い突っぱねてしまいます。頭ごなしに説得したのをヤンの方でも後悔します。
ヤン「そんなことが可能かどうか判断のつかないお前じゃあるまい?第一、お前は志願して軍人になったのであって、強制されてじゃない。命令に従う覚悟は持っていてい然るべきだ。」
ユリアン「わかりました、駐在武官としてフェザーンに赴任します。でも、統合作戦本部の命令だからじゃありません。ヤン・ウェンリー提督のご命令だからです。御用がそれだけでしたら、下がらせて頂いてよろしいでしょうか?閣下。」
フレデリカ「……ユリアンの気持ちはわかりますわ。閣下にとって必要のない人間だと思われたのではないかと、きっとそう感じたんです。」
ヤン「……必要がないなんてそんなわけないだろう。必要がなくなったから側に置かないとか、必要だから側にいさせるとか……そういうものじゃなくて、必要がなくても側にいさせる、いや、必要というのは役に立つとか立たないとかという次元のものじゃなくてだねぇ……、話合う必要があるな……。」
ユリアンの居場所を教えてもらい話し合いに行くヤン。フェザーンの重要性をユリアンに説いていきます。
ヤン「なぁ、ユリアン。お前をフェザーンにやるのは何よりもそれが軍命令だからだが、私自身としても誰か信頼できる人間にフェザーンの内情を見てきてもらいたい気持ちもあるからなんだ。それでも、やはり行くのは嫌かな?」
ユリアン「でも……、状況がこう展開するとイゼルローンがまた最前線になるでしょう?僕はこちらにいたほうがお役に立つと思いますけど……。」
ヤン「うん、実はそこなんだユリアン。誰でも帝国軍は、イゼルローン回廊から侵入してくるものと考えている。そんな規則や法則がある訳でもないのにな。」
ユリアン「でも、だとしたらどこから侵入してくるんです?銀河系の外側を大きく迂回するか、あとはフェザーン回廊しかないじゃありませんか。」
ヤン「そうさ。」
ユリアン「え?」
ヤン「ローエングラム公にとって最も有効な戦略は、一軍をもってイゼルローンを包囲する一方で、他の軍でもってフェザーン回廊を突破することさ。彼にはそれだけの兵力があるし、そうすればイゼルローン要塞を陥落させなくても存在の意味自体をなくすことができる。」
ユリアン「だけど、それでは帝国はフェザーンを敵に回すことになりませんか?」
ヤン「うん、良い質問だがこの際それは問題にしなくていい。ローエングラム公がフェザーン回廊の通過を実行するとしたら2つの場合が考えられる。1つはフェザーンの抵抗を実力で排除できる場合。もう1つはフェザーンの抵抗を考慮する必要がない場合だ。」
ユリアン「つまり……、ローエングラム公とフェザーンが密かに手を結ぶということですか?」
ヤン「正解!」
ローエングラム公の登極により今世界は変わりつつあると説明するヤン。
ユリアン「それじゃ、銀河帝国は滅びると?」
ヤン「滅びるさ、いや事実上は既に滅んでいる。実権はローエングラム公の手中にあるし、皇帝は国を捨てて逃げ出した。名義の変更が実現されていないだけで、実情はローエングラム王朝だ。」
ユリアン「……仰るとおりですね。それにしてもフェザーンがローエングラム公と手を結ぶというのは高い確率を持つのでしょうか?」
ヤン「A、B、Cと3つの勢力が存在していて、AとBが対立抗争の関係にあるとする。この場合、Cが取るべき道は、AがBに押されればAを救い、BがAに圧迫されればAを助ける。両者の抗争を長引かせて共倒れさせるというものになるだろう。
しかしAの勢力が著しく増大し、Bを助けてもAに対抗し難いというとき、Cとしてはいっそ、Aに協力して共にBを討つという選択をするのではないかな?」
ユリアン「でもそうすると、圧倒的なまでに強大化したAはBを滅ぼした余勢を駆ってCを攻撃し、結局Cは滅亡への道をたどることになってしまうんじゃありませんか?」
ヤン「そう!そのとおりだ。私の考えのネックも実はそこにある。フェザーンの富とその戦略的位置をローエングラム公に提供してしまえば、その結果フェザーンは、政治的独立を失うことになるかもしれない。その辺りを彼らはどう計算しているのか……、あるいはフェザーンの目的は、フェザーン自体の存続にはないのかもしれない。いや、こいつは飛躍しすぎた考えかもしれないし、第一なんの証拠もあるわけじゃない。フェザーンは統一された新銀河帝国で経済上の権益を独占するつもりなのではないか、という辺りが一番妥当ところだろうが、どうも今ひとつ自分を納得させられないでいるところさ。」
ユリアン「物質的な利益や打算でないとすれば、精神的なものでしょうか?」
ヤン「精神?」
ユリアン「例えば、イデオロギーとか宗教とか。」
ヤン「宗教か、そうだな、それはありうることだ。フェザーンを額面通り合理的な現実主義者の集団と思い込んでいると足をすくわれることになるかもしれない。宗教か、なるほどねぇ……。」
ユリアン「僕がフェザーンに行って、少しでも彼らの政策や政略について探ることが出来たら、それに帝国軍の動向についても知ることができたら、それは閣下のお役に立てますね。だったら僕喜んでフェザーンに行きます。」
ユリアンにフェザーンに行ってもらいたいのはそれだけではないのだと語るヤン。
ヤン「う~ん、どう言ったらいいかなぁ。山を観るにしても一方からだけ観ていては全体像がつかめないというか……。いや、それよりちょっとお前に聞きたいんだが、このまま行くと我々はどうやらローエングラム公と死活をかけて戦わなくてはいけないらしいんだが、そのローエングラム公は果たして悪の権化だろうか?」
ユリアン「え?あ、それは違うと思いますが……。」
ヤン「それはそうさ、悪の権化なんて3流のTVドラマの中にしか存在しない。むしろ悪と言うなら、今度同盟は帝国の旧体制派と手を組んだ。少なくても歴史の流れを逆転する側に組みしたということだ。後世の歴史家は我々こそを悪の陣営と色分けするかもしない。」
ユリアン「まさかそんなこと……!」
ヤン「そう。そういう観点も歴史にはあるということさ。だけど、人間は自分が悪であるという認識に耐えられるほどに強くはない。だから、それぞれの正義を信じて、それを他人に押し付けようとして戦うのさ。」
ユリアン「絶対的な正義なんてありはしないということですか。」
ヤン「そう。だからユリアン、お前がフェザーンに行って、彼らの正義と私達の正義との差を目の当たりすることができるとしたら、それは多分お前にとってマイナスにはならないはずだ。それに比較すれば国家の興亡など大した意義はない。本当だよ?これは。」
ユリアン「自由惑星同盟の興亡でもですか?」
ヤン「そうだなぁ。私が年金をもらう間くらいもってほしいけどね。だが、歴史的意義から言えば、自由惑星同盟はルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの政治思想に対するアンチテーゼとして誕生したんだ。」
ユリアン「はい。」
ヤン「専制に対する立憲制、非寛容な権威主義に対する開明的な民主主義、まあ、そういったものを主張し、実践してきたわけだがルドルフ的なものがローエングラム公の手で一掃されてしまえば、あえて同盟が存続すべき理由もなくなる。」
ヤン「なぁ、ユリアン。人が必ずいつか死ぬように、国家だって永遠にして不滅のものじゃない。国家なんてものは単なる道具に過ぎないんだ。そのことさえ忘れなければ多分正気を保っていけるだろう。」
ユリアン「わかりました!僕、フェザーンへ行ってきます。」
ヤン『キャゼルヌ先輩は1つだけいいことをしてくれたよ。それは、ユリアン。お前を私のところに連れてきてくれたことさ。』
よくユリアンを手放すことを了承したなという周りの意見に、軍の命令だからと正論で反論するヤン。
ユリアンがいなくなることより、いなくなってヤンの生活が成り立つのかを心配されてしまいます。
キャゼルヌ「立派な意見だが、お前さん、ユリアンがいなくてもきちんと生活していけるのかね?」
ヤン「うん?同じことをグリーンヒル大尉にも聞かれましたがね!どうして誰も彼もユリアンがいないと私が生活無能力者になってしまうと思うんです?」
キャゼルヌ「それが事実だからさ。それはそうと今夜ユリアンと家にこないか?ユリアンがフェザーンに行ってしまえば、次にいつこういう機会持てるかわからんからな。よかったら大尉も一緒にどうだい?」
フレデリカ「ありがとうございます。」
シェーンコップ「聞いていて可笑しいのは、ヤン提督はユリアンのことになるとどういうわけか妙に立派というか常識的な意見を言いたがることですなぁ。」
キャゼルヌ「まったくだ。時々、常識人ぶってユリアンに説教したりしているようだが、説教する側よりされる側の方が遥かに常識をわきまえているんだが、身の程を知らないというか……。」
シェーンコップ「そうそう!子供なんてものは親の行動を見て育つってもんですからなぁ。口でいくら立派なことを言ってもダメ、ダメ。」
ヤン「……あれであの二人は自分たちが常識人だと思っているらしい。」
それはそれとして、ユリアンに護衛としてマシュンゴをつけることにします。査問会のときにヤンの護衛についた人物ですね。
シェーンコップ「まあ、マシュンゴがついていれば大丈夫でしょう。あの男より信頼できる護衛役はざらにはいませんよ。」
ヤン「しかし、マシュンゴだって四六時中ユリアンについていられるわけではないからなぁ。」
シェーンコップ「ご心配なく。ユリアンの銃や格闘技の腕は閣下より上ですよ。」
ヤン「そういう言い方をされると……。」
シェーンコップ「不愉快ですか?」
ヤン「いや、困るんだ。感心すればいいのか、私より上という程度なら大したことないと不安がればいいのか……。」
シェーンコップ「では、言い直しましょう。閣下より遥かに上です。十分に自分自身を守れます。これで安心しましたか?」
ヤン「安心することにしよう。」
挨拶回りをするユリアン。みんなユリアンになんらかのアドバイスを贈ります。
バグダッシュ「ところで、お前さん。フェザーンに行って情報収集をするつもりなんだろう?だったら1つだけ教えておこう。世の中に飛びかってる情報ってものには必ずベクトルがかかっているんだ。つまり、誘導しようとしていたり、願望が含まれていたり。その情報の発信者の利益をはかる方向性が付加されている。それを差し引いてみれば、より本当の事実関係に近いものが見えてくる。」
ユリアン「でも、その発信者の正体がわからないときはどうするんです?」
バグダッシュ「よく言うだろう?犯罪が行われたとき、その犯罪によって利益を受けるものが真犯人だって、それと同じさ。じゃあな!成果に期待してるよ。」
ムライ「まあ、今だから言うが私の任務はヤン提督の引き立て役だったんだ。」
ユリアン「……っ!」
ムライ「いや、そんな顔はしなくていい。別に卑下したり、不平をならしているわけではないんだから。ヤン提督は指揮官としての資質と参謀としての才能の両方を兼備する珍しい人だ。あの人に参謀が必要だとすれば、それは他人がどう考えているか、それを知って作戦の参考にするためだ。だから私としてはエル・ファシルの英雄に参謀として望まれたとき、自分の果たすべき役割を考えてすぐには結論を出せなかった。
それが出たのはイゼルローン陥落以後だ。で、私は役割をわきまえてことさら常識論を唱えたり、メルカッツ提督にも一線を引いて対応したりしたわけだ。鼻持ちならなく見えた点もあろうが、わかってもらえるかな?」
ユリアン「はい、わかりました。でも、どうしてそんなことを僕に話してくださったんです?」
ムライ「そう、なぜかなぁ……。あまり論理的でない言い方になるが、君には他人を信頼させる何かがあるということだろうか。恐らくヤン提督も他の連中も君には色々なことを話していると思う。そういうところを君は大事にしていくことだ。きっと今後の財産になるだろう。」
ユリアン「ありがとうございます。」
ヤンからはフェザーンの銀行口座(グリーンヒル大尉のアドバイスでしたっけ?)とビュコック提督への親書を渡されます。ビュコック提督への手紙はなんだったかなぁ忘れてしまった。お金は逃走のときに役立つのでしたっけ?視察するときに使うくらいだったでしょうか。
そして、亡命政府に合流させられるメルカッツ提督たちと共にひとまずハイネセンへ向かうユリアン(とマシュンゴ)。
今回は、ここまで。
辞令を受けるため首都星ハイネセンに向かうユリアンは、その時間を利用して改めて歴史を振り返る。
帝国の、同盟の、そして人類の歴史が語られる。
次回、銀河英雄伝説 第40話「ユリアンの旅・人類の旅」
銀河の歴史が、また1ページ……。
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幼帝誘拐が成功し、同盟領内に亡命政府を立てたことでラインハルトは同盟に宣戦布告。
一方、グブルスリー提督の退任により、ドーソンが後任に。その余波で、ユリアンはフェザーンへ飛ばされ、亡命政府の要請でメルカッツ提督たちは軍務尚書として呼びされることになりますというお話。
今回は、OPもEDも特別バージョンですね。
そういえば、この回は多分みたことありますね。ユリアンがムライにむっとするところの作画が結構ひどかったのを覚えていますが、新規作画になってました。
ラインハルトの宣戦布告に大見得を切るトリューニヒト。面の皮は分厚い。
トリューニヒト「何も心配することはない。我々にはイゼルローン要請という絶対の防壁があり、ヤン提督という不敗の名将もいる。帝国のローエングラムがいかなる攻撃をしてこようとも恐れるべきなにものもない!」
最近まで査問会でヤンをいびっていたのにとトリューニヒトを批判するレベロ。これに嫌気が差したヤンが独裁者になるのでは?と危惧します。一応、これ後の展開の伏線といえば、伏線なんでしょうか。組めさえすれば理想的なコンビだったのですが……。
査問会を直接見たホワンはヤンの人となりをそれなりに理解して、それはないだろうと否定しますが。
レベロ「いい気なものだな、その頼みの綱のヤンを査問にかけていびっていたときから半年も経っておらんのに。」
ホワン「都合の悪いことは忘れるようにしてるんだろう。」
レベロ「加害者は忘れても、被害者の方は忘れんもんさ。どう思う?ヤンはそうした現政権の仕打ちに嫌気が差してるんじゃないかな?」
ホワン「それはそうだろうな。」
レベロ「その気持が強くなれば、自ら軍事独裁政権を打ち立てようという気にならんとも限らんだろう?」
ホワン「うん?まさか……。」
レベロ「現実にならないうちは笑っていられるがね、笑顔が途中で引きつるような場面を私は何度も見てるんだ。」
ホワン「独裁者という名のカクテルを作るためにはたくさんのエッセンスが必要でね。差し当たり私の結論、ヤン・ウェンリーは独裁者にはなれんよ。少なくとも本人にその意思はない。」
トリューニヒトは軍部に手を入れて引っ掻き回します。理想論というか名目上独裁を防ぐために文民統制の一環として人事で軍部の人材の流動性を保つのはあながち間違ったはないではないのですが、それで弱体化が進むのでは話にならない利敵行為ですね。二人の議論も暗い方向にしか行きません。
ホワン「こんなことは言ってはなんだがね、帝国の民衆の方がいっそ幸せかもしれん。」
レベロ「うん?」
ホワン「腐敗した専制政治という議論の余地のない最悪の状態から救出されつつあるのに対して、我々同盟は腐敗した民主政治と清潔な独裁政治とどちらを取るかという最も回答困難な命題を突きつけられているようなものだからな。」
そして、その余波はユリアンの元にも。フェザーンの駐在武官としてイゼルローンから飛ばされることに。
ごねるユリアンを諭すヤン。ユリアンは勢い突っぱねてしまいます。頭ごなしに説得したのをヤンの方でも後悔します。
ヤン「そんなことが可能かどうか判断のつかないお前じゃあるまい?第一、お前は志願して軍人になったのであって、強制されてじゃない。命令に従う覚悟は持っていてい然るべきだ。」
ユリアン「わかりました、駐在武官としてフェザーンに赴任します。でも、統合作戦本部の命令だからじゃありません。ヤン・ウェンリー提督のご命令だからです。御用がそれだけでしたら、下がらせて頂いてよろしいでしょうか?閣下。」
フレデリカ「……ユリアンの気持ちはわかりますわ。閣下にとって必要のない人間だと思われたのではないかと、きっとそう感じたんです。」
ヤン「……必要がないなんてそんなわけないだろう。必要がなくなったから側に置かないとか、必要だから側にいさせるとか……そういうものじゃなくて、必要がなくても側にいさせる、いや、必要というのは役に立つとか立たないとかという次元のものじゃなくてだねぇ……、話合う必要があるな……。」
ユリアンの居場所を教えてもらい話し合いに行くヤン。フェザーンの重要性をユリアンに説いていきます。
ヤン「なぁ、ユリアン。お前をフェザーンにやるのは何よりもそれが軍命令だからだが、私自身としても誰か信頼できる人間にフェザーンの内情を見てきてもらいたい気持ちもあるからなんだ。それでも、やはり行くのは嫌かな?」
ユリアン「でも……、状況がこう展開するとイゼルローンがまた最前線になるでしょう?僕はこちらにいたほうがお役に立つと思いますけど……。」
ヤン「うん、実はそこなんだユリアン。誰でも帝国軍は、イゼルローン回廊から侵入してくるものと考えている。そんな規則や法則がある訳でもないのにな。」
ユリアン「でも、だとしたらどこから侵入してくるんです?銀河系の外側を大きく迂回するか、あとはフェザーン回廊しかないじゃありませんか。」
ヤン「そうさ。」
ユリアン「え?」
ヤン「ローエングラム公にとって最も有効な戦略は、一軍をもってイゼルローンを包囲する一方で、他の軍でもってフェザーン回廊を突破することさ。彼にはそれだけの兵力があるし、そうすればイゼルローン要塞を陥落させなくても存在の意味自体をなくすことができる。」
ユリアン「だけど、それでは帝国はフェザーンを敵に回すことになりませんか?」
ヤン「うん、良い質問だがこの際それは問題にしなくていい。ローエングラム公がフェザーン回廊の通過を実行するとしたら2つの場合が考えられる。1つはフェザーンの抵抗を実力で排除できる場合。もう1つはフェザーンの抵抗を考慮する必要がない場合だ。」
ユリアン「つまり……、ローエングラム公とフェザーンが密かに手を結ぶということですか?」
ヤン「正解!」
ローエングラム公の登極により今世界は変わりつつあると説明するヤン。
ユリアン「それじゃ、銀河帝国は滅びると?」
ヤン「滅びるさ、いや事実上は既に滅んでいる。実権はローエングラム公の手中にあるし、皇帝は国を捨てて逃げ出した。名義の変更が実現されていないだけで、実情はローエングラム王朝だ。」
ユリアン「……仰るとおりですね。それにしてもフェザーンがローエングラム公と手を結ぶというのは高い確率を持つのでしょうか?」
ヤン「A、B、Cと3つの勢力が存在していて、AとBが対立抗争の関係にあるとする。この場合、Cが取るべき道は、AがBに押されればAを救い、BがAに圧迫されればAを助ける。両者の抗争を長引かせて共倒れさせるというものになるだろう。
しかしAの勢力が著しく増大し、Bを助けてもAに対抗し難いというとき、Cとしてはいっそ、Aに協力して共にBを討つという選択をするのではないかな?」
ユリアン「でもそうすると、圧倒的なまでに強大化したAはBを滅ぼした余勢を駆ってCを攻撃し、結局Cは滅亡への道をたどることになってしまうんじゃありませんか?」
ヤン「そう!そのとおりだ。私の考えのネックも実はそこにある。フェザーンの富とその戦略的位置をローエングラム公に提供してしまえば、その結果フェザーンは、政治的独立を失うことになるかもしれない。その辺りを彼らはどう計算しているのか……、あるいはフェザーンの目的は、フェザーン自体の存続にはないのかもしれない。いや、こいつは飛躍しすぎた考えかもしれないし、第一なんの証拠もあるわけじゃない。フェザーンは統一された新銀河帝国で経済上の権益を独占するつもりなのではないか、という辺りが一番妥当ところだろうが、どうも今ひとつ自分を納得させられないでいるところさ。」
ユリアン「物質的な利益や打算でないとすれば、精神的なものでしょうか?」
ヤン「精神?」
ユリアン「例えば、イデオロギーとか宗教とか。」
ヤン「宗教か、そうだな、それはありうることだ。フェザーンを額面通り合理的な現実主義者の集団と思い込んでいると足をすくわれることになるかもしれない。宗教か、なるほどねぇ……。」
ユリアン「僕がフェザーンに行って、少しでも彼らの政策や政略について探ることが出来たら、それに帝国軍の動向についても知ることができたら、それは閣下のお役に立てますね。だったら僕喜んでフェザーンに行きます。」
ユリアンにフェザーンに行ってもらいたいのはそれだけではないのだと語るヤン。
ヤン「う~ん、どう言ったらいいかなぁ。山を観るにしても一方からだけ観ていては全体像がつかめないというか……。いや、それよりちょっとお前に聞きたいんだが、このまま行くと我々はどうやらローエングラム公と死活をかけて戦わなくてはいけないらしいんだが、そのローエングラム公は果たして悪の権化だろうか?」
ユリアン「え?あ、それは違うと思いますが……。」
ヤン「それはそうさ、悪の権化なんて3流のTVドラマの中にしか存在しない。むしろ悪と言うなら、今度同盟は帝国の旧体制派と手を組んだ。少なくても歴史の流れを逆転する側に組みしたということだ。後世の歴史家は我々こそを悪の陣営と色分けするかもしない。」
ユリアン「まさかそんなこと……!」
ヤン「そう。そういう観点も歴史にはあるということさ。だけど、人間は自分が悪であるという認識に耐えられるほどに強くはない。だから、それぞれの正義を信じて、それを他人に押し付けようとして戦うのさ。」
ユリアン「絶対的な正義なんてありはしないということですか。」
ヤン「そう。だからユリアン、お前がフェザーンに行って、彼らの正義と私達の正義との差を目の当たりすることができるとしたら、それは多分お前にとってマイナスにはならないはずだ。それに比較すれば国家の興亡など大した意義はない。本当だよ?これは。」
ユリアン「自由惑星同盟の興亡でもですか?」
ヤン「そうだなぁ。私が年金をもらう間くらいもってほしいけどね。だが、歴史的意義から言えば、自由惑星同盟はルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの政治思想に対するアンチテーゼとして誕生したんだ。」
ユリアン「はい。」
ヤン「専制に対する立憲制、非寛容な権威主義に対する開明的な民主主義、まあ、そういったものを主張し、実践してきたわけだがルドルフ的なものがローエングラム公の手で一掃されてしまえば、あえて同盟が存続すべき理由もなくなる。」
ヤン「なぁ、ユリアン。人が必ずいつか死ぬように、国家だって永遠にして不滅のものじゃない。国家なんてものは単なる道具に過ぎないんだ。そのことさえ忘れなければ多分正気を保っていけるだろう。」
ユリアン「わかりました!僕、フェザーンへ行ってきます。」
ヤン『キャゼルヌ先輩は1つだけいいことをしてくれたよ。それは、ユリアン。お前を私のところに連れてきてくれたことさ。』
よくユリアンを手放すことを了承したなという周りの意見に、軍の命令だからと正論で反論するヤン。
ユリアンがいなくなることより、いなくなってヤンの生活が成り立つのかを心配されてしまいます。
キャゼルヌ「立派な意見だが、お前さん、ユリアンがいなくてもきちんと生活していけるのかね?」
ヤン「うん?同じことをグリーンヒル大尉にも聞かれましたがね!どうして誰も彼もユリアンがいないと私が生活無能力者になってしまうと思うんです?」
キャゼルヌ「それが事実だからさ。それはそうと今夜ユリアンと家にこないか?ユリアンがフェザーンに行ってしまえば、次にいつこういう機会持てるかわからんからな。よかったら大尉も一緒にどうだい?」
フレデリカ「ありがとうございます。」
シェーンコップ「聞いていて可笑しいのは、ヤン提督はユリアンのことになるとどういうわけか妙に立派というか常識的な意見を言いたがることですなぁ。」
キャゼルヌ「まったくだ。時々、常識人ぶってユリアンに説教したりしているようだが、説教する側よりされる側の方が遥かに常識をわきまえているんだが、身の程を知らないというか……。」
シェーンコップ「そうそう!子供なんてものは親の行動を見て育つってもんですからなぁ。口でいくら立派なことを言ってもダメ、ダメ。」
ヤン「……あれであの二人は自分たちが常識人だと思っているらしい。」
それはそれとして、ユリアンに護衛としてマシュンゴをつけることにします。査問会のときにヤンの護衛についた人物ですね。
シェーンコップ「まあ、マシュンゴがついていれば大丈夫でしょう。あの男より信頼できる護衛役はざらにはいませんよ。」
ヤン「しかし、マシュンゴだって四六時中ユリアンについていられるわけではないからなぁ。」
シェーンコップ「ご心配なく。ユリアンの銃や格闘技の腕は閣下より上ですよ。」
ヤン「そういう言い方をされると……。」
シェーンコップ「不愉快ですか?」
ヤン「いや、困るんだ。感心すればいいのか、私より上という程度なら大したことないと不安がればいいのか……。」
シェーンコップ「では、言い直しましょう。閣下より遥かに上です。十分に自分自身を守れます。これで安心しましたか?」
ヤン「安心することにしよう。」
挨拶回りをするユリアン。みんなユリアンになんらかのアドバイスを贈ります。
バグダッシュ「ところで、お前さん。フェザーンに行って情報収集をするつもりなんだろう?だったら1つだけ教えておこう。世の中に飛びかってる情報ってものには必ずベクトルがかかっているんだ。つまり、誘導しようとしていたり、願望が含まれていたり。その情報の発信者の利益をはかる方向性が付加されている。それを差し引いてみれば、より本当の事実関係に近いものが見えてくる。」
ユリアン「でも、その発信者の正体がわからないときはどうするんです?」
バグダッシュ「よく言うだろう?犯罪が行われたとき、その犯罪によって利益を受けるものが真犯人だって、それと同じさ。じゃあな!成果に期待してるよ。」
ムライ「まあ、今だから言うが私の任務はヤン提督の引き立て役だったんだ。」
ユリアン「……っ!」
ムライ「いや、そんな顔はしなくていい。別に卑下したり、不平をならしているわけではないんだから。ヤン提督は指揮官としての資質と参謀としての才能の両方を兼備する珍しい人だ。あの人に参謀が必要だとすれば、それは他人がどう考えているか、それを知って作戦の参考にするためだ。だから私としてはエル・ファシルの英雄に参謀として望まれたとき、自分の果たすべき役割を考えてすぐには結論を出せなかった。
それが出たのはイゼルローン陥落以後だ。で、私は役割をわきまえてことさら常識論を唱えたり、メルカッツ提督にも一線を引いて対応したりしたわけだ。鼻持ちならなく見えた点もあろうが、わかってもらえるかな?」
ユリアン「はい、わかりました。でも、どうしてそんなことを僕に話してくださったんです?」
ムライ「そう、なぜかなぁ……。あまり論理的でない言い方になるが、君には他人を信頼させる何かがあるということだろうか。恐らくヤン提督も他の連中も君には色々なことを話していると思う。そういうところを君は大事にしていくことだ。きっと今後の財産になるだろう。」
ユリアン「ありがとうございます。」
ヤンからはフェザーンの銀行口座(グリーンヒル大尉のアドバイスでしたっけ?)とビュコック提督への親書を渡されます。ビュコック提督への手紙はなんだったかなぁ忘れてしまった。お金は逃走のときに役立つのでしたっけ?視察するときに使うくらいだったでしょうか。
そして、亡命政府に合流させられるメルカッツ提督たちと共にひとまずハイネセンへ向かうユリアン(とマシュンゴ)。
今回は、ここまで。
辞令を受けるため首都星ハイネセンに向かうユリアンは、その時間を利用して改めて歴史を振り返る。
帝国の、同盟の、そして人類の歴史が語られる。
次回、銀河英雄伝説 第40話「ユリアンの旅・人類の旅」
銀河の歴史が、また1ページ……。
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