銀河英雄伝説第2期第46話「ヤン提督の箱舟隊」: あああ

2021年10月08日

銀河英雄伝説第2期第46話「ヤン提督の箱舟隊」

銀河英雄伝説第2期第46話「ヤン提督の箱舟隊」を観ました。旧OVA版になります。

イゼルローン要塞を放棄して、ヤンが民間人を連れて脱出するお話です。ロイエンタールだから被害が出なかった面があるのかも。
なぜかロイエンタールの内面が結構描写されれてる回になっています。

疲れて昔のこと（赤ん坊の頃のことなので覚えてないけど）を回想していたロイエンタール。レンネンカンプとルッツが来訪してきたのでベルゲングリューンに起こされます。

ロイエンタール「ベルゲングリューン。」
ベルゲングリューン「は？」
ロイエンタール「私は何か言ったか？」
ベルゲングリューン「は？いや、いいえ何も。……何か？」
ロイエンタール「いや、いい。」

幕僚たちにイゼルローン要塞の放棄を告げるヤン。フェザーン回廊が突破されたことで、イゼルローン要塞の戦略的な価値がなくなったことを説明し、駐留艦隊だけでも戦力として有効に活用すべきだとときます。

ムライ「それにしても、心理的効果というものがあるでしょう。ヤン提督が帝国軍に追われてイゼルローン要塞を放棄したとなれば、同盟市民の受ける衝撃は大きいですぞ。戦わずして敗北感に苛まれ、戦意を失うかもしれません。それでは、後日の再戦など到底おぼつかなくなります。その辺りをご一考ください。」
ヤン「それも一理ある。だが、正直なところそこまで責任は持てない。唯でさえ一個艦隊で、帝国軍の大軍を相手にしなければならないんだ。それを考えるだけで手一杯だよ。」
シェーンコップ「私も参謀長の意見に賛成しますな。どうせなら政府のお偉方たちが血相を変えて、イゼルローンなんぞ捨てて助けに来い！と喚き立ててから腰を上げたほうがいいでしょう。恩知らずの連中だが、今度こそ閣下の存在が如何にありがたいものか骨身にしみるでしょう。」
ヤン「それでは遅い。帝国軍に対する勝機を失ってしまう。」
シェーンコップ「ほお、勝機？すると勝てるとは思ってらっしゃるんですか？」
ヤン「少将の言いたいことはわかる。我々は戦略的に極めて不利な立場にあるし、戦術レベルでの勝利が戦略レベルでの敗北を償えないというのは軍事上の常識だ。だが、今回たった一つだけ逆点のトライを決める機会がある。」
シェーンコップ「それは？」
ヤン「ローエングラム公は独身だ。そこがこの際は狙いさ。」

イゼルローン方面の状況を確認するラインハルト。いずれヤン・ウェンリーは要塞を放棄するだろうと。
同盟が勝利するための唯一の方法、後継者のいないラインハルトを戦場で葬るためだと。

ラインハルト「それと、ヤンの決断は同盟が勝利を得る唯一の方法をとるためのものだ。勝利の前には要塞を放棄することくらい問題になるまい。」
シュトライト「同盟が勝利する唯一の方法？」
ラインハルト「わからぬか？戦場で私を倒すことだ。」

居残りでシェーンコップの不満を聞くヤン。とりあえずはできることを片付けます。

ヤン「ま、そんなことより、目前に急務があるわけだからまずそれを片付けよう。夕食の用意が出来てもいないのに、明日の朝食について論じても始まらないよ。」
シェーンコップ「それにしても食事の材料は相手の負担だからといって、返してやるのは気前が良すぎますなぁ。」
ヤン「必要なものを必要な間だけ借りたい。必要がなくなったら返すだけのことさ。」
シェーンコップ「また必要になったら？」
ヤン「また借りるさ。その間、帝国に預かってもらう。利子が付かないのが残念だが。」
シェーンコップ「要塞とか人妻とかいうものはそう簡単には借りられないものですがね。」
ヤン「貸してくださいと頼めば、当然拒絶されるだろうね。」
シェーンコップ「引っ掛けるしかないでしょう。」
ヤン「相手はロイエンタールだ。帝国軍の双璧の一人だ。引っ掛けがいがあるというものさ。」

ロイエンタールにイゼルローン攻めの陳情にきたレンネンカンプとルッツ。ロイエンタールは、時期にヤンはイゼルローンを放棄するだろうから今は手を出さないと説明しますが、レンネンカンプは納得しません。

ロイエンタール「今や時代は変わったのだ。要塞を固守するだけでは戦況になんら寄与しないことはヤン・ウェンリーならばわかっているはずだ。」
レンネンカンプ「同盟が滅びてもイゼルローンが不落であれば、ヤンの武人としての面目は保たれるではないか！」
ロイエンタール「ああ、ヤンが卿ならばそう考えるだろうよ。」
レンネンカンプ「！？」
ルッツ「レンネンカンプ提督。できれば私も要塞に大攻勢をかけたいと思うが、総司令官が否と言われる以上、従うのが筋だろう。」
ロイエンタール「私も言い過ぎたようだ。非礼は詫びる。だが、いずれ熟した実は落ちる。労せずして手に入れられるものに、余計な犠牲を払う必要な無いと思うのだが？」
ルッツ「では、攻撃を加えずにこのまま包囲するだけにとどめますか？」
ロイエンタール「いや、そうも行くまい。敵に時間を稼がせることになるからな。敵が何を企んでいるにせよ、その準備に専念させてやることもなかろう。」
ルッツ「つまり、嫌がらせの攻撃をすると？」
ロイエンタール「露骨すぎるな、その表現は。あらゆる布石を惜しまんとしておこうか……。」

脱出計画の立案はすべてキャゼルヌの仕事として押し付けられました。民間人から抗議が入るも手が回らないので、のほほんと紅茶を飲んでいるやつにお鉢が回ります。

防戦ばかりでストレスが溜まった駐留艦隊の部下からの押上げにあい、出撃計画を具申するアッテンボロー。フレデリカの入れ知恵もあってヤンから許可がおります。

ヤン「あまり悪い知恵をつけないでくれよ、大尉。それでなくても面倒なことが多いんだから。」
フレデリカ「はい。出過ぎました、申し訳ございません（笑）。」

アッテンボローの策がスタート。イゼルローンから脱出する艦艇が見つかりました追撃を開始するレンネンカンプ。とりあえず、レンネンカンプを黙認するロイエンタール。

レッケンドルフ「要塞から離脱した敵を追って、レンネンカンプ艦隊が動き出しました。」
ロイエンタール「結構だ、やつに任せるとしよう。」
ベルゲングリューン「ですが、レンネンカンプ提督に大魚を釣り上げられるということもありますぞ？あえて功をお譲りになりますか。」
ロイエンタール「レンネンカンプしてやられるくらいなら、ヤン・ウェンリーの知略の井戸も枯れたということだな。だが、誰にとっての不幸かは知らんが、まだ水脈が途絶えたとも思えん。レンネンカンプの用兵ぶりを拝見し、かつ彼の手腕に期待しようではないか。」

レンネンカンプは追うも同盟の艦艇は輸送艦をおいて逃走。輸送艦を拿捕しようと近づいたところ、これが罠で輸送艦は誘爆、この隙きに反転した同盟の艦艇によりレンネンカンプ艦隊は2千隻以上の被害を受けます。

レンネンカンプ「2千隻もの艦艇を失い、面目ないとしか申し上げようがない。」
ロイエンタール「いや、これで敵の考えがはっきりした。ご苦労だった。」

ベルゲングリューン「閣下！」
ロイエンタール「あのような策を弄したのは実際に要塞を捨てるときに、我らの追撃の意志を鈍らせるためだ。単に戦術上の小さな勝利のためだけに、あのような小細工をするヤン・ウェンリーではあるまい。」
ベルゲングリューン「では改めて追撃の用意をいたしますか？」
ロイエンタール「ほぉ、なぜ追う必要があるのだ？奴らを見逃せば、我々は労せずしてイゼルローン要塞を手に入れることができるのに。それだけでも十分な勝利だとは思わぬか？」
ベルゲングリューン「ですが、ヤン・ウェンリーに行動の自由を許せば、後日我軍にとって大いなる病の原因になりかねません。」
ロイエンタール「病に対抗するなら全員が共同で当たるべきだ。わが艦隊だけが感染の危険を犯す必要はないと思うが？」
ベルゲングリューン「ですが、閣下！」
ロイエンタール「知っているか？ベルゲングリューン。こういうことわざがある。野に獲物がいなくなれば猟犬は不要になる。だから猟犬は獲物を狩り尽くすのを避ける……。」
ベルゲングリューン「閣下！滅多なことはおっしゃいますな。無益な誤解を招くことになりかねませんぞ、いや、誤解だけならまだしも讒言の原因になるかもしれません。どうかご自重ください！」
ロイエンタール「確かに、卿の忠告は正しい。少し、口を慎むとしようか。」
ベルゲングリューン「お聞き入れくださって嬉しく思います。ところで追撃はともかく、イゼルローン要塞進駐の準備は進めておきたいと思いますが。」
ロイエンタール「そうだな、早急いやってもらおう。」

箱舟作戦と命名された脱出計画の名前のセンスのなさを嘆くヤン。そんな実利のないものにこだわる余裕があるかと突っぱねるキャゼルヌ。老朽艦とは言え、囮にした500隻もの輸送艦を爆破した作戦にも文句をつけます。巻き込まれそうになるので逃走するアッテンボロー。

真の罠を隠すために、カモフラージュで要塞に爆弾をしかけるヤン。後日の伏線ですね。

フレデリカ「きっと役に立ちますわ。イゼルローン要塞は私達の、ヤン艦隊全員の家ですもの。いつか帰る時が来ます。その時、必ず閣下の布石が生きてきますわ。」
ヤン「まあ、大尉。何はともあれ今後とも宜しく。」

イゼルローン要塞から大量の艦艇が脱出します。レンネンカンプから追撃の許可がほしいと連絡が入りますが、逆撃を被るだけだし、逃げる民間人を討ったと汚名を残すは嫌だとロイエンタールは却下します。レンネンカンプも前回の失敗があるので固執はしません。

ルッツの進言もあり、まず要塞内に爆発物等の罠がないか調査します。
予定の時刻になっても要塞が爆発しないので、胸をなでおろすヤンたち。

ヤン「やれやれ、気づいてくれたらしい。」

あと5分遅れていたら要塞が爆発していたと報告を受けるロイエンタール。

ロイエンタール『ヤン・ウェンリーの置き土産は本当にこれだけなのか？何やらより辛辣なものが隠されているのではないか……。まあ、いい。ヤン・ウェンリーがどんな奇策をもってイゼルローンを再奪取しようと、その時の当事者が俺でなければ意に介する必要はない。第一、再びヤン・ウェンリーにその機会が与えられるとは限らないではないか……。とにかく、譲られたものなら悪びれずに受け取っておくさ。』