銀河英雄伝説第2期第51話「バーミリオンの死闘(前編)」: あああ

2021年11月13日

銀河英雄伝説第2期第51話「バーミリオンの死闘(前編)」

銀河英雄伝説第2期第51話「バーミリオンの死闘(前編)」を観ました。旧OVA版になります。

第2期の最終巻になります。あと4話ですね。巻のサブタイトルが思いっきりネタバレではありますが（何十年も前に完結してる小説にネタバレも何も今更ですが）。
そう言えばノイエ版は原作準処なんですかね。反三国志じゃないけど、ヤンが一人勝ちする夢展開とか無いのかな？（ない）。

バーミリオン会戦の前半になります。ヤンの挑発に乗って部下を各地に派遣したラインハルト。自らを囮にヤンをおびき寄せる策に出ます。
ヤンもそのことは承知していますが、これが唯一の勝機なので帝国の各艦隊が引返して来るまでにラインハルトを仕留めるべく、出撃。直接対戦が始まります。

戦いを前にヤンの元を訪ねるユリアン。ラインハルトの罠について指摘します。

ユリアン「ローエングラム公が全軍を分散させたことを、どうお考えですか？」
ヤン「どう考えると言われてもなぁ……。」
ユリアン「では、僕の考えを述べさせて頂きますけど、これは明らかに罠です。行けば必ず罠にハマります。」
ヤン「どんな罠かね？」
ユリアン「わが艦隊が敵の本拠地に接近したら、タイミングを図って全艦隊が反転し、巨大な網の中に我々を追い込んで包囲殲滅する、そういう罠です。無論ご存知だったんでしょう？僕にわかるくらいですから。それなのに敢えて罠に飛び込むと仰るんですね。」
ヤン「……やれやれ。普通は年少者が突進を主張して、年長者がそれを抑えるものだが……。どうも逆になっているようだな。私がローエングラム公に負けると思うのかい？」
ユリアン「そんな言い方で口封じをされるのは卑怯です！」
ヤン「いや、悪かった。お前の言う通りだ。こんな言い方は卑怯だった。」
ユリアン「いえ、僕の方こそ……。生意気を申し上げてすみません。」
ヤン「なあ、ユリアン。私は勝算のない戦いをしないことをモットーにしてきたし、今回も決してそのモットーに背いているわけじゃないんだ。」
ユリアン「勝算はお有りなんですね？」
ヤン「いや、正直なところ多くはない。だけど、これは唯一の機会なんだ。ローエングラム公は、私の狙いを正確に読み取った上で、私に誘いを掛けてきている。いわば、私の非礼な挑戦に応えてくれたわけだ。」
ユリアン「その意気に感じて、こちらも堂々と正面から戦うというわけですか。」
ヤン「いや、私はそれほどロンマンティスとじゃないよ。私が今考えているのは、ローエングラム公のロマンティシズムとプライドを利用していかに勝つか、それだけさ。実は他にもっと楽をして勝ちたいんだが、これが今回一番楽な方法なんだから仕方ない。」
ユリアン「とにかく、無理をなさってはダメですよ。」
ヤン「ああ、大丈夫だよ。無理をするのは私の趣味じゃない。心配してくれてありがとう。」

決戦前の最後の補給時間を利用して、半日のお休みを取る同盟軍。
ヤンはフレデリカを呼び出します。

キャゼルヌ「そうか……。とうとうヤンのやつ、なけなしの勇気を総動員したか。」
ユリアン「ごくっ、ごくっ、ごくっ……ケホ！」
キャゼルヌ「ま、基本的にはめでたいことだ。一つ乾杯と行こうか。」
ユリアン「あ、すいません。先に……。基本的にはめでたいことだっておっしゃいましたけど、どういうことなんですか？」
キャゼルヌ「そりゃあ、ヤンにはめでたいさ。なんとあいつに嫁さんのなり手があったんだからな。どれも特上のな。グリーンヒル少佐にしても、物好きの極致ながら好きな相手と結婚できるわけで、誠にめでたい。何しろ葬式は一人でできるが、結婚指揮は二人でないとできないしな。」
ユリアン「じゃあ、どうして基本的には、なんです？」
キャゼルヌ「それは、お前さんが乾杯の前に一杯あけてしまったのと同じわけさ。」
ユリアン「うん？」
キャゼルヌ「……ミスグリーンヒルのこと、憧れていたんだろう？お前さん。」
ユリアン「あ、僕はお二人を祝福しているんです！本当です！お二人共、僕は大好きだし……これはもう、当然の結果で……。」
キャゼルヌ「わかってるよ、もう一杯行くか？」
ユリアン「……ええ、薄く。」
キャゼルヌ「なぁユリアン。こいつは、お節介を承知で言うんだがな、恋愛に限らず人の心のメカニズムは方程式じゃ解けないんだ。一つのものに対する愛情が、他のものに対する愛情も尊敬も失わせてしまうこともそう珍しいことじゃない。理屈じゃない、どうしようもなくそうなってしまうんだ。正直お前さんがそうなってしまっては困ると思っていた。
　お前さんは頭もいいし、正確もまず立派なものだ。だが、そんなものと関わりなく炎ってやつは燃え上がるものでね。」
ユリアン「ええ、わかります。」
キャゼルヌ「うん。まあ、わかるのは良いことさ。頭の中だけでもな。」

お互いに会敵。戦闘開始まで時間があるので3時間ほと休憩を取るように指示を出します。

会議の後、残ったシェーンコップに声をかけるヤン。

ヤン「勝てると思うかい？中将。」
シェーンコップ「……あたなに本当に勝つ気があればね。」
ヤン「私は、心の底から勝ちたいと思っているんだがね。」
シェーンコップ「いけませんなぁ。ご自分で信じていらっしゃらないことを人に信じさせようとなさっては。
　あなたが勝つことだけを目標にする単純な職業軍人であるか、権力だけを欲する凡俗な野心家であるか、どちらかなら私としても扇動するかいがあるんですがねぇ。ついでに自分自身の正義を信じて疑わない信念と責任感の人であれば、いくらでもけしかけられる。
　ところがあなたは戦っている最中でさえ、自分の正義を全面的には信じていない人ですからなぁ。
　信念なんぞないくせに戦えば必ず勝つ。唯心的な精神主義者からみれば許しがたい存在でしょうな。困った人だ。」
ヤン「……私は最悪の民主政治でも最良の専制政治に勝ると思っている。だからヨブ・トリューニヒト氏のために、ラインハルト・フォン・ローエングラム公爵と戦うのさ。こいつは、なかなか立派な信念だと思うがね。」
シェーンコップ「銀河帝国を作ったルドルフは、民衆の支持によって皇帝になった。最悪の民主政治の帰結する先に何があるか？興味深いとは思いませんか。逆説的ではありますがね、最良の民主政治を生み出す土壌としては、最悪の民主政治と最良の専制政治、どちらが適しているんでしょうねぇ。」

戦闘はお互い相手の奇策に対応するつもりだっため、そのまま正面からぶつかり合うことに。ただ、一旦戦端が開かれてしまうとなかなか制御も効かない状態に。

ラインハルト「それぞれの部署において対応せよ！……何のために中級指揮官がいるのか！何もかも私がしなくてはいけないのか！」

ヤン「ふぅ～、そんなことは敵と相談してやってくれ！こちらには何の選択権もないんだから……。」