小説:虚構推理短編集 岩永琴子の純真

虚構推理短編集 岩永琴子の純真 を読みました。城平京さんの小説になります。

末尾にコミックスの原作として書き下ろされましたと書かれてるけど、そういう小説もあるんですね。

短編集になってます。テーマというほどでもないけど、雪女の話とダイイングメッセージが少し通して関わってる感じでしょうか。関係ないのもあるけど。

第一話 雪女のジレンマ
 ある男に殺人の容疑がかかられるのですが、そのアリバイを証言できる人物が雪女で、証言するわけにも行かず、琴子に相談するのですが……というお話。
 推理の途中でそういう話だったの?と一瞬なりかけますが、ちょっと騙されました。このお話は最後の話とも少し繋がっています。

第二話 よく考えると怖くないでもない話
 ある物件で、いわつきの家があり、その整理をするバイトに九郎が入ることになったのですが……というお話。これは短い小話みたいな感じですね。九郎がいるからかぁというのは読んでてわかりましたが、オチはちょっと予想外でした。

第三話 死者の不確かな伝言
 琴子と部活が一緒だった女の子がたまたま六花と出会って、高校時代の琴子のエピソードを話すことになり……というお話。とあるダイイングメッセージにまつわるお話になっています。なかなか辛辣な推理が披露されます。

第四話 的を得ないで的を射よう
 弓を拾った二匹の猿がお互い自分が拾ったものだと譲らず、どちらのものすべきを琴子が判定することに……というお話。大岡裁き的になるのかなと思いきやという展開。

第五話 雪女を斬る
 ある剣豪の子孫から祖先の死にまつわる事件の真相を解き明かす依頼を受ける琴子。ある流派の剣士が雪女を斬ることで奥義を開眼したのですが……というお話。読んでてそういう真相なのかなぁと思って進みましたが、ちょっとひねりが効いてる感じのオチでした。
 全然関係ないけど、下の部分がツボにはまりました。とある剣術の流派に詳しい琴子に関する話の流れで、
「心形刀流とはよく知ってますね。」
「だから岩永さんは怖いんだって。」
 蓮が余計な合いの手を入れているが、情報化社会を甘く見てはいけない。知らないうちに刀剣や剣術に詳しい女子が大量に生まれたりしているかもしれないのだ。


虚構推理短編集 岩永琴子の純真 (講談社タイガ) - 城平京, 片瀬茶柴
虚構推理短編集 岩永琴子の純真 (講談社タイガ) - 城平京, 片瀬茶柴

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