小説:花菱夫妻の退魔帖

花菱夫妻の退魔帖 を読みました。白川紺子さんの小説になります。

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面白かったというか良かったです。単純にゲラゲラ可笑しい話とかだけではないので。
タイトル的に夫婦で妖怪退治するような話なのかなと思ったら、物語冒頭時点ではまだ出会ってもいなくてちょっと意表をつかれました。
あと、なんというか想像してた妖怪退治的な話でもなかったし。

とある事情があって、怪談蒐集が趣味という事にしている主人公の鈴子が怪しい青年花菱孝冬が出会ってなぜか求婚されてしまい……という感じで物語が進んでいきます。どちらもちょっと変な二人なのですが(孝冬のが少し自覚的に演じてるんでしょうか)、二人の微妙な噛み合わさが面白かったです。

・虚飾のエメラダ
 室辻子爵の家で幽霊が出るということで怪談蒐集が趣味の鈴子が話を聞きに行くのですが、そこに孝冬が現れて、連れてきた幽霊にその幽霊が食べられてしまい……という感じで物語が始まります。
 そこから、そもそもなんで幽霊が出てきたのかみたいなのを調べるお話になります。どれくらい正確なのかわからないけど、大正時代の社会背景なんかも絡んでちょっと予想してたのと違う感じの物語なんだなとなりました。

・花嫁簪
 孝冬から求婚されて家の方でも裏で手を打たれて縁談の話が進み、鈴子の方でもその準備が始まりました。そんななか食事に誘われてついていった先で孝冬の用事に付き合うことになるのですが……。
 ある幽霊の未練を解消してあげるお話になり、ちょっと孝冬と鈴子の仲も進展?してお互いの事情が明らかになります。

全然関係ないけど、下の会話がツボに入りました。鈴子とお付きの女の人タカの会話です。

「ねえ、タカ。わたしって『死んだ魚のような目』をしているかしら」
鈴子は問うた。タカが羽織を肩に掛けようとした手をとめ、鏡越しに鈴子を見る。
「あらまあ……お上手な喩えですこと。どなたがおっしゃったんです?」
孝冬である。が、鈴子は言わずにおいた。
「落ち着いていらっしゃるのがお嬢様のいいところでございますよ。生き生きとした目のお嬢様なんて、お嬢様じゃありませんからね」
「……褒めてるの……?」
「褒めております。ほかのご令嬢にはない個性があって、よろしいではございませんか」
「……」


・魔女の灯火
 孝之の養父母を紹介したいということで旅行にでかけた二人(だけじゃないけど)。そこの近くにある子爵の別荘で奥様だった人の幽霊が出るという話があって……。
 なんか伏線になりそうな話が鈴子のさっぱりした?性格もあってあっさり消えてしまった感じですね。単純な怪異退治みたいなお話じゃなくて、大本の幽霊みたいな方に対処するのがメインな感じになるのでしょうか。

特にナンバーリングされてないけど、シリーズものなんですかね。結構面白かったので、続きが読めたらよいですが。
後宮の烏なんかがアニメ化されてるし、結構注目されてる感じなんですかね。何冊かまとめて(再刊のもあったみたいですが)新刊でた感じだったと思いますが。アニメの方はどうなんですかね。あの鳥のデザインが結構奇抜でしたが。

よく見ると光文社じゃなくて、光文社キャラクター文庫ってレーベルなんですね。そんなんあったんだ。

花菱夫妻の退魔帖 (光文社キャラクター文庫) - 白川 紺子
花菱夫妻の退魔帖 (光文社キャラクター文庫) - 白川 紺子

後宮の烏
後宮の烏 2
後宮の烏3
後宮の烏4
後宮の烏5
後宮の烏 6
後宮の烏7
朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女
朱華姫の御召人 下 かくて恋しき、花咲ける巫女

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